お客さまはスマホ注文をどれくらい使っている?
外食時に自身のスマホで注文する「セルフオーダー」の利用経験率は67.5%。リクルート「ホットペッパーグルメ外食総研」の調査(2025年8月実施・2025年9月24日公表、首都圏・関西圏・東海圏対象)による数字で、2021年調査の26.0%から約2.6倍に増えました。同調査ではセルフオーダーを今後「利用したい」と答えた人も52.5%と、前回調査から増えています。
事業者側のデータもあります。モバイルオーダー大手のダイニーが自社導入店舗の実データを集計した調査では、導入店でのモバイルオーダー利用率は2022年57%→2023年61%→2024年64%と毎年上昇し、業態によっては約90%に達します(外食研究所 by ダイニー。全国の飲食店の平均ではなく、同社導入店での利用率である点に注意)。
「QRで注文してください」がお客さまに通じるかどうかは、すでに普及側に答えが出つつあります。高齢のお客さまが多い店での併用のコツは個人店のQRオーダー現実ガイドにまとめています。
飲食店の人手不足はどれくらい深刻?
帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査」によると、2026年4月時点で正社員が不足している企業は50.6%(4月として4年連続で半数超)、非正社員は28.3%。業種別に見ると飲食店は非正社員(パート・アルバイト)の58.6%が不足(2026年1月調査)と、全業種の中でも最上位級です。
不足は倒産にも直結しています。同社の集計では2025年の「人手不足倒産」は427件(前年比+24.9%)で3年連続の過去最多。うち77.0%が従業員10人未満の小規模事業者でした。人が採れないことが、小さな店ほど直接、経営リスクになっています。
ホール1人で回すための具体策は人手不足の注文術で解説しています。
人件費(最低賃金)はいくらまで上がった?
2025年度(令和7年度)の地域別最低賃金は、全国加重平均1,121円(厚生労働省・答申状況)。前年度の1,055円から+66円で、目安制度が始まった1978年度以降で最大の引き上げです。今回初めて、全47都道府県で1,000円を超えました。
時給1,121円のスタッフを1日5時間・月22日雇うと、それだけで月約12.3万円。「注文を聞いて回る時間」を機械に任せられるかどうかが、そのまま人件費の話になる水準です。
飲食店の倒産・外食市場はどうなっている?
厳しい数字と明るい数字が同居しています。
- 倒産:2025年の飲食店倒産は900件で、2年連続の過去最多・3年連続の増加(帝国データバンク・事業者ベースの集計)。負債5,000万円未満の小規模倒産が696件・77.3%を占め、業態別では酒場・ビヤホール(居酒屋等)が204件で最多でした。
- 売上:外食産業の2025年売上は前年比107.3%(日本フードサービス協会・会員社対象の市場動向調査、全店ベース)。客数102.9%・客単価104.3%と、値上げを伴いながら市場は伸びています。
- 市場規模:2023年の外食産業市場規模は24兆1,512億円(前年比+20.2%、日本フードサービス協会推計。2026年8月時点で確認できる最新の年次推計)。
市場全体は伸びているのに、小規模店の倒産は過去最多——「客はいるが、人手とコストが追いつかない」構図が、統計からそのまま読み取れます。
キャッシュレスとスマホの普及率は?
2025年のキャッシュレス決済比率は58.0%(162.7兆円)(経済産業省)。内訳はクレジットカード82.7%、コード決済10.2%、電子マネー3.7%、デビットカード3.4%です。なお2026年発表分から算出指標が「国内指標」に変更されており(従来の国際比較指標では46.3%)、過去年の数値(例:2024年42.8%)と単純比較はできません。
スマートフォンは保有世帯91.8%(総務省「令和7年通信利用動向調査」・世帯保有率)。「お客さまのスマホで注文してもらう」方式の前提は、統計上はほぼ整っています。
数字が示すこと — 小さな店の打ち手
統計を並べると、小さな飲食店の置かれた状況は次の3行に要約できます。
- 客側の準備は済んだ:スマホ保有91.8%、セルフオーダー利用経験67.5%。
- 人はもう「安く・すぐ」は採れない:最低賃金1,121円(過去最大の引き上げ)、飲食店の58.6%が非正社員不足。
- コスト構造を変えられない小規模店から倒れている:倒産900件の77.3%が小規模。
つまり「注文を聞いて回る仕事」を月数万円の固定費をかけずに減らせるかが、小さな店の分岐点です。方式ごとの費用構造は料金比較 完全ガイドと買い切り型の損益分岐点で、当サイト運営のタクメニュー(買い切り29,800円税込・月額0円)を含めて比較できます。
引用について・出典一覧
本ページの数値はすべて下記の発行元の公表資料に基づき、2026年8月5日に確認したものです。本ページの引用・転載は、出典(各発行元と本ページ)の明記のうえ自由です。調査はそれぞれ対象・方法が異なるため、引用時は本文に記載した調査主体・調査年・調査対象をあわせてご確認ください。